戦略的に気分転換をおこなうコツ

戦略的に気分転換をおこなうコツ

はじめに

気分転換、していますか?
私もそうですが、日々の仕事や生活の中で、落ち込んだり、ゆううつになったり、イライラしたり、上手くいかないと感じることは時々やってきます。
そういったとき、上手く気分を切り替えられる方法はこれだ!…と明確になっている方もいらっしゃいますが、その場になると意外とゆううつやイライラをそのままにしてしまっている方も多いようです。

メンタルを上手にマネジメントするために、戦略的な気分転換をおこなうには、どのようなコツがあるのでしょうか?

まずは『行動実験』をする

何かが上手くいっていないように感じ、嫌な気分が続いている場合、まずはその状況を断ち切るために、今とは違う行動を『実験的に』起こしてみましょう。

心理療法のひとつ、解決志向短期療法に、こんな言葉があります(Berg&Miller, 1992)。

上手くいっているなら、なおそうとするな。
上手くいったなら、それを繰り返せ。
上手くいかないなら繰り返すな。何か違うことをせよ。

 

現状が上手くいっていないなら、何か違う『行動』を試しに起こしてみるのです。小さな変化が、大きな希望につながっていくことも、しばしば見られます。

どんな行動を起こせばいいのか?

今とは違う『行動』について、どんなことでもいいのでリストアップしてみましょう。
思い浮かぶままに、自由に、役に立つ・立たないの判断は後回しにして、アイディアを出すことを楽しんでみましょう。
例えば、嬉しさ、よろこび、幸福、楽しさ、高揚感(ワクワク)、興奮、情熱、達成感、といった気持ちにつながりそうな行動は、どのようなものが思い浮かびますか?

好きなだけ寝る、散歩をする、漫画を読む、動画を見る、ストレッチする、欲しかったものを買う、休日や有休の計画を立てる、好きなアーティストのDVDを見る(…これは私の趣味です)、工作をする、料理を作る、髪を切る、机の上の掃除をする、歌をうたう、…まだまだありそうですね。

今までに経験したこと、または、まだやったことがないけれども、実はやってみたかったこと、興味があることでもかまいません。
大それたことでなくても、小さなことでいいのです。模範的なことでなくても、自分が良いと思えばそれでよいのです。

もう少しアイディアを出してみましょう。五感で心地よさ、よろこび、落ち着きなどが感じられる行動をイメージすると、どんな物が思い浮かびますか?

視覚…緑豊かな自然の風景を見る、花を見る、好きな相手・こども・ペットなどの写真を見る、アートを見る、etc…
聴覚…川の流れや波の音、鳥の声など自然の音を聴く、好きな曲を聴く、ヒーリング音楽を聴く、好きな人や安心できる人の声を聞く、etc…
触覚…肌触りの良い毛布にくるまる、マッサージをしてもらう、お風呂に入る(お湯に触れる)、etc…
嗅覚…花の香りをかぐ、森林浴をする、図書館の匂いを思い起こす、好きな香りのアロマをかぐ、美味しい食べ物の匂いを想像する、etc…
味覚…大好物を食べる、温かいミルクやお茶・コーヒーを飲む、激辛料理を食べる(高揚感や達成感を感じる人もいますね!)

いまはあまり思い浮かばない、という方も大丈夫です。
ひとつずつ、見つけたときに付け足していけば、気づくと十分なバリエーションが増えているでしょう。

行動リストに点数をつける

この『行動リスト』を上手に活用するために、それぞれの行動を3つの軸で点数をつけていきます。
3つの軸とは、
・快
・達成感
・エネルギー
の3つです。

』は、その行動をすることでプラスの気持ちをどのくらい感じるか、『達成感』はそのまま、その行動で達成感がどのくらい得られるか、『エネルギー』は、その行動を起こすためにどのくらいのエネルギーを必要とするか、を表します。
点数は、0〜100の範囲でつけてみます。
例えば、料理をする、という行動をイメージしてみると、『』の気持ちは30〜40くらいかな、『達成感』はとてもあるぞ、80くらいかな、料理はある程度元気なときじゃないとできないから、『エネルギー』は50くらいは必要かな、という感じです。

点数は、主観でかまいません。
試しにリストを作ってみると、このように作ることができます。

達成感エネルギー
寝る9000
散歩をする406040
料理をする30〜408050
ちょっと高いコーヒーを飲む502010

 

こうして行動を数値化してみて、そのときの気分とエネルギーの量によって、行動を選んでみます。
「今日は疲れているから、エネルギーが少なくても出来そうなものを選ぼう」
「気分がモヤモヤするから、達成感の高いものをやってみよう!」
といったようにです。

さいごに

戦略的に気分転換をおこなうコツは、行動のリストアップをできるだけ数多くおこなうこと、行動に3つの軸で点数をつけて、気分・エネルギーの状態に応じて、行動を選ぶことです。
この方法は、『行動活性化』という心理療法で使われるスキルになります。

いろいろ試しているけれど気分が晴れない、気持ちが切り替わらないという方へ、EASE Mental Managementでは、頑張りすぎない自分でいてもいい、心の安全基地を目指して、心理カウンセリングやコーチングを行っています。
こんなことぐらいで相談してもいいのかな?ということでも、話すだけで楽になることもあります。当てはまるかもと思った方、身近な方にオススメしたいという方も、まずはサービスメニューをご覧ください。

三瓶真理子(EASE Mental Management 代表・臨床心理士・公認心理師)