話すことに頼らないトラウマを癒す方法

話すことに頼らないトラウマを癒す方法

8月の週末、計6日間、精神的な外傷後のストレス反応(つまりいわゆるトラウマ)を癒すためのトレーニングに参加していました。

Somatic Experiencing®︎(ソマティック・エクスペリエンシング)という、世界中のカウンセラーが活用しているトラウマを扱う心理療法です。

トラウマというのは震災や事故・事件、犯罪・暴力などの被害にあったときだけでなく、日常の中でもしばしば起こるものです。
たとえば、仕事の中でとても恥ずかしい場面があった経験、誰かから攻撃されたけれど反撃できなかったこと、悲しみや怖さに耐えなければならなかったことなど、大きなことから小さなことまで、トラウマが脳やからだに残っているということは起こり得ます。
同じような場面や、以前つらかったことを思い出す場面に出会ったときに、頭では「いま起こっていることはそんなに怖がることではない」とわかっていたとしても、とてもビックリしたり、なぜだか怖くなったり、頭が真っ白になったり、からだが動かなくなったりするのは、からだや脳に残った記憶(トラウマの体験)が影響している、ということが考えられます。

先ほど「頭ではいまはそんなに怖がることではない」とわかっている、と書きました。これはカウンセリングをしているとよく見られることで、頭では否定したり「こう思えばいい」ということは理解しているのです。誰かからアドバイスを受けたり、すでに何度も相談したことがあったりするのですが、なぜだか「こう思えばいい」と心から思えない。
または、なぜこんなことが起こるのか言語化できないので、うまく話せない。でも、からだはドキドキ・ソワソワしたり、涙がこみ上げてきたり、考えられなくなったりする。
自分で自分をうまくコントロールできない感覚を経験し、カウンセリングにいらっしゃる方は本当に大勢いらっしゃいます。
そういうときは、からだから脳・神経に働きかけることが変化を起こすことがあります。「こういうことがあって、こういう行動をして…」と話すことに頼るのでなく、意識を向ける部分を調整したり、起こってくるからだの反応を調整したり、全身を使って調整していく方法もあるのです。

このSomatic Experiencing®︎のトレーニング、3年間で計36日間(216時間)のトレーニングを受け、自分自身も12時間以上のセラピーと、18時間以上の指導を受けてはじめてライセンスが発行されるのでなかなか大変です。私も今回のトレーニングで、やっと36日中の30日(180時間…!)を終えたところです。
その分、カウンセリングそのものやトラウマを扱う上で本当に大切なことが叩き込まれ…というとちょっと乱暴ですかね、何度も何度もカウンセラー自身が経験しながら繰り返し学ぶので、とても大事なことが染みついていきます。
特に、大事なことは安心感・安全感を提供すること。傷ついた経験にふれるときは、誰かが一緒にいて、ふれても安全だ、大丈夫なのだと感じられることが本当に大切です。
また、カウンセラー自身も素直になり、共同で、一緒に相談者さんの調整をサポートすること。相談者さんがすでに出来ていることを大事にしながら、一緒に少し違ったことにも挑戦していき、相談者さんのキャパシティを増やしていくこと。…こうやって書いていると、大切なことはいくらでも出てきそうです。

トラウマを抱えた状態、というのは疲れます。嫌なこと、不快なことに対して身構えたり自分を保ったりするために、たくさんのエネルギーを使ってしまうので、本来持っているエネルギーを向けたい対象に十分使えていない、という感覚があるかもしれません。
相談に来る皆さんが肩の荷を下ろして、自由にのびのびと毎日を過ごせる、そんな一助となれたらと思っています。

専門家・臨床家の皆さんで興味のある方はこちらからトレーニングの詳細を確認できます

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