入社後、異動後に、新しい環境になじむための6つの方法

入社後、異動後に、新しい環境になじむための6つの方法

はじめに

新生活で、大きな環境の変化を経験した方、たとえば新しい会社に入社した、新しいチームに異動した、新しくリーダーやマネージャーのポジションになった、などの変化を経験した方の中には、新しい仕事や環境に「まだ慣れない」「なかなか馴染めない」「頑張って慣れようとしているが、つらくてしかたない」と感じている方もいらっしゃることと思います。
新しく入った会社、部署、人間関係に慣れるには、どんなマインドセットや工夫をしてみるのがいいのでしょうか。

適応はそもそも時間を必要とするもの

高い山に急に登ると、気圧の差による酸素欠乏で高山病になることがありますよね。高山病の予防の一つは、ゆっくりと、体を慣らしながら登ることです。
新しい環境に入るときにも同じことが言えます。早く慣れようと最初からとばすのではなく、しっかりと足場を固めていくことが、結果的には適応への近道につながります。

新しい環境になじむための6つの工夫

1)初めから「期待にこたえよう」としすぎない

新しい環境では、「期待されているのだから頑張らなければならない」「早く戦力になることを見せなければ」とどうしても気負ってしまうものです。
しかし、逆の立場で考えてみると想像しやすいかもしれません。あなたが所属している組織に、新しい人が入ってきました。その人に、最初から既存の人と同様のパフォーマンスを求めますか?
最初の数ヶ月間は、現場に慣れること、新しい環境のルールを覚えること、業務の概要をつかむこと、人に慣れること、そういったことで十分だ、というのは周囲から見ていれば感じることでしょう。
焦る前にできることについて以下に挙げてみましたので、ひとつずつ見ていきましょう。

2)オリエンティング

広いサバンナに、草食動物がいることを想像してみてください。少し離れた場所から初めてこの場所にやってきて、まずすることは何でしょう。草を食べますか?…いえいえ、まずは周りをよく見て、この場所の地形、特徴、どんな匂いがするか、他にどんな動物がどのくらいいるか、ここは安全な場所かどうか、どこにいるのが最も安全か、状況をよく確認してから作業(食事)を始めます。これをオリエンティングと言います。
ひとは、安全な環境にいるときに創造性が発揮されます。自分の周囲を、ゆっくり見回してみましょう。そして、どんなことに気がつくか、3つ挙げてみましょう。

3)リソースを確保する

高山病が予想されるような高い山に登ろうとするときは、いざというときに備えて薬を用意するかもしれません。すぐにヘルプやSOSを出せるよう、連絡がとれる人とつながっておくかもしれませんね。また、過去の経験から危険な箇所に検討をつけ、どのように攻略できるか、考えておくでしょう。
仕事での新しいチャレンジに対しても、いざというときに使えるリソース(資源)を確保しておきましょう。自分が今まで身につけてきたスキルや経験、アドバイスをくれる人や心の支えになってくれる人、過去に新しい環境に入ったときや大変だったときはどのように乗り越えたか、何が支え・助けになったか。使えるリソースを棚卸しして、明文化しておくと役に立ちます。
働く環境がどんなに個人主義の現場だったとしても、社内外に、また自分の内側にも、必ずリソースはあります。

4)孤独感を癒す

大きな負荷がかかったときに、乗り越えられる人とそうでない人の差はどこにあるか。カウンセリングをしていると、その差は「相談できる人がいるかどうか」が大きいように感じます。どんなに能力がある人でも、自分の感じていることを誰にも話せないのは、とてもつらいことなのです。
新しい環境で、まだその場所でこころの内を話せる人がいない場合は、特に孤独で心細く感じるかもしれません。
その場合は、人間関係の枠を少し広げてみましょう。上司や同僚、仕事仲間だけでなく、趣味の知人、学生時代の知人、前に所属していた場所の同僚・先輩・後輩、友人、家族・親戚、公的機関、カウンセリングサービスなど、今まで視野に入っていなかった意外なところに味方がいることがあります。人間関係というリソースを活用することも、スキルのひとつです。

5)自分をケアする時間を持つ

新しい環境では、人はとてもエネルギーを使います。環境への適応に多くのエネルギーを割いている分、たっぷりエネルギーを補充してください。具体的には、普段よりもしっかりと睡眠をとる、バランスのとれた食事をする、自分が自由に使える時間を持つ、などです。おすすめは、1日のうちにせめて1時間は、バッファ(緩衝)時間をとること。新しいことにチャレンジしているあなたは、十分頑張っています。誰にも気兼ねしないで好きなことをする、リラックスして過ごす時間を、自分に与えてあげてください。

6)遠慮せずに引き継ぎ・学びの時間を確保しにいく

ヘルプを出せない人に話を聞くと、「(相手が)忙しそうだから時間をさいてもらうのが申し訳ないと思った」「自分で何とかしないといけないと思った」と言います。引き継ぎや学びのために質問すること、手を貸してもらうことが、相手の迷惑になると思いこみ、行動が止まってしまうようです。
あなたが活躍することが、チームや上司、ひいては会社のためになります。自分が活躍するために、今は知識を蓄える必要があると感じたら、遠慮なく聞きにいきましょう。今は手を貸してもらったり、時間をもらうかもしれませんが、そのぶん少し先には何倍の戦力にもなって返すこともできるはずです。
また、誰かの役に立てることが嬉しいと感じる人もたくさんいます。あなたの役に立つことが、相手の利益になる場合も多いのです(あなたが誰かの役に立ったときのことを想像してみてください)。
たまたま、本当に相手が忙しくて時間をとってもらえないこともあるかもしれませんが、「後ほどお時間のあるときに教えてください」と伝えておくだけでも、あなたがヘルプを必要としていることは伝わります。
「前にも同じことを聞いたかも…」という心配も無用です。「もう一度確認させてください」と遠慮なく確認し、あとは忘れないように改めてメモすれば大丈夫です。

さいごに

変化が大きければ大きいほど、慣れるのに数ヶ月〜年単位が必要なのは、とても普通のことです。また、慣れたころに疲れが遅れてやってくる(3ヶ月後、半年後、1年経ってから)ということも、よくあります。
「なんだか調子がおかしいな」と感じたら、自分をケアする時間をとるとともに、早めに相談の機会を持つといいでしょう。身近な人や、医師、カウンセラーなどの専門家にも相談してみてください。

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