カウンセリングをしていると、自分がつらくなったりしませんか?

カウンセリングをしていると、自分がつらくなったりしませんか?

「日々、相談を受けていると、カウンセラー自身がつらくなったりしませんか?」とよく聞かれます。
この質問は「カウンセラーあるある」と言っていいほど、よく受ける質問なので、みなさん興味を持たれるところなのかもしれません。

少し、たとえ話をしましょう。

ここに、とても切れ味のいい包丁があったとします。
その包丁を使って毎日料理をしている、腕のいい板前さんがいたとします。
とても切れ味のいい包丁に、板前さんが触る回数は多いので、確かに怪我と隣り合わせと言えるかもしれません。
しかし、実際は、毎日包丁を使っているプロの板前さんは、その包丁の使い方や特徴をよく分かっているので、めったに包丁で料理をしない人よりも自分を傷つけてしまう頻度は少ないでしょう。

話を聞くプロであるカウンセラーやセラピストは、自分にも相手にとっても安全な話の聞き方、というのがよくわかっています。それができるということが、プロたる所以とも言えます。

修行して、効果的な包丁の使い方がわかっていないと良い板前にはなれないように、修行して、安全で効果的な話の聞き方、セラピーの仕方がわかっていないと、プロのカウンセラーやセラピストにはなれないのです。

心理学や心理療法は、実は科学に裏づけられた学問であり、方法です。
使い方を誤れば諸刃の剣になることもあります。だからこそ、それを安全に、効果的におこなうには、学びと経験が必要になり、そういった経験を積んでいるからこそプロフェッショナルとして安定したセラピーやカウンセリングを提供できるのです。

…とはいえ、経験の長い板前さんでも、ときには怪我をしてしまうこともあるように、私たちカウンセラー・セラピストもときにはつらくなることもあります。
そういったときのために、私たちは自分自身のリカバリーのための方法を、二重三重に持っています。
それは学び直しであったり、先輩に意見を仰いだり、仲間に話を聞いてもらったり、自分自身のための時間をつくることであったり、自分もセラピーやカウンセリングを受けることだったり、様々ですが、自分にあった、自分なりの整え方を準備しています(この方法のことをコーピング、とも言いますね)。

ですので、カウンセラーのことは心配されず、お話ししてくださると良いな、と思います。