適応障害の復職後のしんどさを楽にする方法

適応障害の復職後のしんどさを楽にする方法

はじめに

適応障害は職場のメンタルヘルス疾患としてよくみられる疾病です。仕事の変更で業務時間が一気に増えた、役職が変更になった、部署が変わった、責任の重い仕事の担当になった、事業の撤退や後処理の担当になった、対人関係で大きなストレスを受けた、など大きなストレスになる出来事が起こったときに心身にかかる負荷が大きくなりすぎたため、心身が悲鳴を上げているのが適応障害という状態です。

ストレスの原因がはっきりとしており、そのストレスが起こったときから3カ月以内に精神面での症状、あるいは普段できていることができなくなるなどの行動面での症状が起こるのが診断名としての適応障害です。症状や状態によっては休職する必要が出てくる疾病ですが、休職があけた復職後にしんどさを訴えたり、復帰後にしんどくならないだろうか、という不安を抱えている方の話を多く聞きます。

適応障害からの復職後のしんどさを楽にするためには、どんな方法があるのでしょうか。

異動、配置転換などを経てストレス環境から離れた人

適応障害と診断された場合、ストレスとなっていた環境から離れると軽快することも多く見られます。

復帰後は心身が休みに慣れた状態になっているため、まずは復帰後は身体と心を仕事に再度慣らすところから始めましょう。休職を経験した方の中には「休んでしまった分、貢献しなければ」「休んでしまった分、役に立たなければ」と復帰直後から気負ってしまう方も多くおられます。

もし、環境が変わっての復帰であればなおさら、まずは規則正しい生活を意識し、目の前のことに一つずつ対応することを意識するとよいでしょう。

この時期に通院や服薬を自己中断してはなりません。復職後しばらくは生活を大きく変えず、医師の指示通りに通院・服薬を続けることが復職を成功させる大事なポイントです。いつまで通院・服薬を続けたらいいのか、疑問に思う場合は遠慮なく医師に相談しましょう。再発しないために必要な通院・服薬の期間を医師は伝えてくれるはずです。

復職し、3カ月も経つと心身ともに新しい環境に慣れてきますので、それまではまず焦らず慣れる、ペースをつかむ、ということがこの時期の重要なポイントです。

復職後数カ月経ってもしんどさが抜けないという場合、まずは何が原因になっているのか整理するためにも、他者の手を借りましょう。つまり、サポートを十分に得るのです。上司、同僚、友人、家族、知人、産業医、会社に用意されている相談先、カウンセラーなど、繋がりやすい他者と話をして「しんどい」ということを相談しましょう。早めに他者の手を借りて立て直すのは、再発を防ぎ今後も健康さを保っていくためのポイントのひとつです。何がしんどさに繋がっているのか、ひとつひとつ整理して取り除けるものから取り除いていく。それを1人で抱え込むのではなく他者と一緒におこなうのです。

会社の方針や家庭の事情など、やむを得ない事情で元の環境のまま職場に復帰した人

休職後、元の部署や環境への復帰が前提である会社や組織も多くみられます。また、適応障害の発症にかかわるストレスが仕事のことではなく、プライベートや家庭に関するもので、環境が大きく変わることのないまま復帰するという場合もあるでしょう。

ストレスが変わらないまま復帰する際のポイントは、対処する力・適応する力を上げるために何ができるのか、という点です。

ひとつ目は、休職に至ったストレスを整理することです。ストレスに対して十分に対応できなかった、という後悔や悔しさ、怒り、自責などの感情がどうしても湧いてくるという場合、その感情を解消することも必要です。とらわれている感情があると、前に進むことも難しくなります。引っかかっている感情を整理し、休職に至ったストレスへの対処法が少しでも理解できると、ストレスに対応できるキャパシティが広がります。この点はカウンセリングで対処することが可能です。

ふたつ目は、サポーターの確保、ネットワークの拡大です。マーク・グラノヴェッターという社会学者の提唱した『弱い紐帯の強み』という言葉があります。有益な情報は、社会的繋がりが強い人(家族や友人など)よりも弱い繋がりの人(たまにしか会わない人)がもたらしてくれる可能性が高い、という研究結果から生み出された言葉です。上記は就職・転職に関する研究でしたが、役に立つことは身近ではない意外なところに存在する、ということも多いものです。身近な人、普段会わない人、色々な人と繋がってみましょう。居場所やネットワークが広がれば広がるほど、現在の環境が全てではないと思えるかもしれません。

3つ目は、出来事をとらえる視点を広げてみることができます。例えば「既に上手くいっている点はどのようなものがある?」「以前同じような経験をしたときはどのように対処した?」「この体験にポジティブな面があるとしたらどのようなところ?」「5年後・10年後だったらどのように考える?」「友達が自分の立場だったら何とアドバイスする?」などの視点を変えるヒントを活用し、グルグルと同じ悩みにとらわれてしまうことから一歩離れてみましょう。

繰り返しになりますが、加えて医師から指示された期間は通院と服薬を継続することも非常に大切です。
自己判断の中断だけはやめましょう。

おわりに

適応障害の復職後のしんどさを楽にするには、まずは十分な期間を休み、服薬などの医師の指示を守ること、復職を焦らないこと、休職に至ったストレスを整理すること、対処力を上げること、サポートを得ることが挙げられます。

EASE Mental Managementでは休職されている方の復職をサポートするカウンセリングをおこなっています。
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