「自信のなさ」を克服するには「インポスター症候群」がカギになる

「自信のなさ」を克服するには「インポスター症候群」がカギになる

「仕事ができる=自信がある」?

華やかな実績を上げているビジネスパーソン達。
彼らを見て、

「自信満々に仕事ができていいなぁ」
「自分も確固とした自信が欲しいなぁ」

と思ったことはありませんか?

ところが、有名企業で活躍するビジネスパーソンの中にも、
実は「自信がない」という人が数多くいるのを、
カウンセリングの中で何度も目の当たりにしました。

多くの場合、彼らは落ち着いた時間を過ごしにくく、
自信をつけようとがむしゃらに仕事をして体調を崩したり
キャリアアップ・スキルアップのための勉強も頑張っているのに、
いつまでも自分の状態に満足することができなかったりします。

 

デキる人に潜む、インポスター症候群

「インポスター症候群」という言葉を知っていますか?

表面上は自信を持っているように見えるけれど、
心の中では「デキる人」という仮面がいつ剥がれてしまうか
出来ない自分がいつバレてしまうかと戦々恐々としている状態を言います。

FacebookのCOO シェリル・サンドバーグが
ベストセラーとなった「LEAN IN」の中で、
自分もインポスター症候群である、と紹介し、
近年知る人が増えてきました。*1

デキる人の自分を維持しようと全力で頑張るので、
実力が認められて次のチャンスが来ても
「また次も全力を出さなければならないのか」と素直に喜べず、
「次こそは失敗するのではないか」と思うと、
怖くて大きなプレッシャーを抱えてしまいます。

いくら成功しても自信につながらず、
周囲からは見えにくい苦しみを、密かに抱えているのです。

 

Doの自信とBeの自信

「折れない自信が欲しい」と願う人は多いと思いますが、
その自信にも種類がある、と精神科医の水島広子先生は言います。*4

「Doの自信」は、何かができるとか、これは人よりも優れている、という自信です。
仕事の実績や肩書などによる自信もこれにあたります。

通常、自信というと、この自信を思い浮かべますよね。
確かに、実績や肩書、資格などを手に入れると自信になります。

しかし、「Doの自信」は他者からどう見られるか、という意識が前提にあります。
これだけ実績があるのだから、他の人は評価してくれるだろう、と思うから自信になるのですが、
もっと凄い人が出てきたり、実績や資格などが通用しない場合では、簡単に揺らぎやすいのです。

インポスター症候群の人が、いくら実績を上げても自信がつかないのは、
「Doの自信」を積み重ねているから、とも考えられます。

一方、「Beの自信」は、
「私はこれで良いのだ」「私はこれを大切にするのだ」、という
自分の価値観や感覚に基づく自信です。
こうありたい、という自分の思いに沿って生きていることによる自信、
ともいえます(…意味がわからない!という人もいるかもしれません)。

折れない自信は、「Beの自信」の方が近いでしょう。

スポーツドクターの辻秀一先生も、体感を伴った価値基準が、
自分を信じ、ブレずに生きていくことにつながると言います。*5

重要なのは、他者の評価でなく、
自分なりの考え、価値観を大事にして生活しているか?
というところにありそうです。

自信を手に入れるには?

もうお気づきかと思いますが、折れない自信を手に入れるには、
自分なりの考えや感じ方を意識し、大事にする、ということです。

①頭(言葉)、②イメージ、③行動(動作)の3つからアプローチしてみます。

①頭(言葉)の面ではまず、今の自分を認めること、
今の自分にも意味がある、自分が感じることには理由がある、と
自分で自分を肯定してあげることです。

そのためのフレーズを用意しても良いでしょう(「今はこれで良い」など)。

また、自分の価値観や価値基準を明確にし、常に確認するのも良いでしょう
(例えば「自分が最も大切にするのは○○」など)。

②イメージとしては、自分の価値観に沿った、なりたい自分の姿を
頭の中や目に見える形でビジュアル化してみます。
写真や、絵が得意な人は絵を用いたりするのもテクニックです。

③行動(動作)では、基本的に①②に沿った行動をとる、ということです。
自分の大切なものを優先する、たとえ失敗しても自分の信じたことをやってみる
嫌なことにはきちんとノーと言う、などもこれにあたります。

また、身体の感覚を意識する、整えることも重要です。
身体感覚は、基本的に私達をより良く生存させようと動くので、「身体の声を聴」いたり、体を整えたりすることも、自分を大切にするとても大切な方法なのです。

 

おわりに

もっと自信をつける方法について知りたい方、着実に自信をつけたい方は、
EASE Mental Managementのメンタルトレーニングカウンセリングがお役に立てます。

いつでもお問い合わせくださいね!

 

<参考文献>
1.シェリル・サンドバーグ:LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲.日本経済新聞出版社,2013
2.ポリーヌ・R・クランス:インポスター現象.筑摩書房,1988
3.メラニー・フェネル:自信をもてないあなたへ 自分でできる認知行動療法.CCCメディアハウス,2004
4.水島広子:小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ.大和出版, 2013
5.辻秀一:メンタル・トレーニングの第一人者が明かす 一生ブレない自分のつくり方.大和出版,2014