ふとした瞬間に、昔の傷を思い出して胸が痛んだり、
客観的に見ればささいなことのように思うのに、居ても立ってもいられなくなったり、冷静さを失ったりしてしまう。
そんなことはありませんか?
つらい体験の記憶が、完全に過去のものにならずに、いま現在のわたしたちに影響を及ぼすことがあります。いわゆる“トラウマ”と呼ばれるものです。
トラウマというと、大きな事故や天災に会うとか、いのちに関わるような出来事の記憶のことをいうように思われるかもしれませんが、それだけではありません。
ふつうに生きている中でとても傷ついたこと、悲しかったこと、人知れず怖い思いをしていたこと、などの、大きく感情が動いた経験が、体の感覚をともなって記憶されていて、今のあなたに影響を及ぼしているということはよくあるのです。
こういった経験は、意識して思い出すことができないこともあります。
なぜだかわからないけれど、些細なことで自分がコントロールできなくなってしまう、といった場合、意識にはのぼってこない過去の体験が、感情やからだを通じてあなたを動かしている、ということもあるのです。
カウンセリングをしている中では「頭ではこうだとわかっているのだけれど、心の底からはどうしても納得ができない。腑に落ちていない感じがする。」「頭では理解できるのだけれど、体はザワザワした感じが残る。納得しきれていない感じがする。」などと、頭で考えていることとからだで感じていることが合っていない、と表現される方も沢山います。
「からだが覚えているつらい感覚」にアプローチすることで楽になっていく場合もあるのです。
今年の8月から、からだの感覚を利用し、神経系の調節からつらい記憶にアプローチしていく、Somatic Experiencing®︎のトレーニングに参加しています。3年間かけてさらに学びを深めていく予定です。
EASE Mental Management 代表、働く人と企業のメンタルヘルスケアとカウンセリングが専門の 公認心理師 / 臨床心理士。精神科・心療内科クリニック、EAP(働く人のメンタルヘルス支援)企業、株式会社ディー・エヌ・エー 専属カウンセラーを経て開業(カウンセラー歴17年)。