1on1ミーティングにおける質問スキル(目標・ゴールを明確にする)

はじめに

前回の記事では、1on1ミーティングの中で信頼関係を築くための具体的なスキルをお伝えしました。今回は、信頼関係を築いた後におこなう『質問で相手の力を引き出す』ためのスキルのうち、『目標・ゴールを明確にする』質問スキルについてお話しします。

質問だけでは信頼されない

1on1では部下やメンバーの育成のため、自分の中にある答えを見つけてもらうために、『質問』を多く使います。ですが、質問が有効に機能するためには、安心して相手に話してもらえる関係=信頼関係が築けていることが前提です。

私も以前、勉強も兼ねてコーチングやカウンセリングを受けに行った際、有名で実力もある、と評判の方のセッションを受けたことがあります。質問のバリエーションはさすがに豊富だな、と感じたものの、こちらをねぎらったり寄り添ったりする姿勢が感じられず、「この人には本当のことを話したくないな」と思ってしまい、あまり収穫が得られなかった、ということがありました。

信頼関係がない中で質問を繰り返すと、詰問や責められている感じ、突き放されている印象を与えることがあります。同じ「◯◯さんは、どう思ったの?」というセリフでも、信頼している人から言われると「自分の意見を尊重してくれている」ように聞こえ、そうでない人から言われると「試されている」ように聞こえたりするでしょう。
上手な質問は、上手な関係構築の上に成り立つ、と言えます。

枠組みを説明する

ミーティングを始める際には、まず1on1の目的・枠組みについて説明をします。
ひとは、『なぜ』この物事がおこなわれているのかという『背景や動機』、『どのように』おこなわれるのかという『全体像』がわかると安心するからです。
例えば、「今日は◯◯の目的で時間をとってもらったんだ。」「話してくれた内容は、◯◯に役立てます。」「時間は30分で話しましょう。足りなかったら改めて時間をとりましょう。」など、どのような建てつけでミーティングをおこなうのかを相手に示します。

目標(ゴール)を明確にする質問スキル

1on1は部下やメンバーの育成のためにおこなうものなので、具体的な成長後の姿を目標やゴールとして、お互いに共有しておきます。

目標やゴールは、5つのポイントを押さえると、実行しやすく、達成に近づきやすくなります。5つのポイントは、その頭文字をとって『SMARTゴール』と呼ばれています。

S:具体的なゴール(Specific または Small)
M:測定可能なゴール(Measurable)
A:達成可能・実現可能なゴール(Achievable または Action-oriented)
R:関連性・意味があるゴール(Relevant または Realistic)
T:期間が設定された・いつまでに達成したいかが明確なゴール(Time-specific または Time-limited)

例えば、「世界の海を制覇する」をSMARTゴールに近づけて設定すると、「南太平洋、北太平洋、南大西洋、北大西洋、インド洋、北極海、南極海(S・M)を、5年後の12月31日まで(T)に船で横断し(A)、船窓から見える異なる景色や生き物を写真におさめる(R)」といった具体性をもった形になります。

SMARTゴールをつくる際の質問としては、
何(What)を達成するかを明確にする質問
「何を達成したいか、具体的に思いつくものはある?」「どんな風になりたい?例えばその特徴を言い表すとしたら?」
なぜ(Why)達成するかを明確にする質問
「なぜそれがしたいと思ったの?」「何のためにそれをしたい?」
達成された結果を明確にする質問
「これを達成するとどうなる?何が得られる?」「これを達成したら、今とどんなところが違っている?」
などを尋ねながら、目標のかたちを整えていきます。具体的であればあるほど、次のステップが明確になるので、「具体的に言うと、例えばどんなことですか?」など、部下やメンバー本人が目標とする像をありありとイメージできるように、こちらが興味をもって質問していきます。

さいごに

質問が効果的に機能するためには『信頼関係』が大事であること、はじめに『枠組み』を説明して安心してもらうこと、目標を決めるための『SMARTゴール』について、今回はお伝えしました。
次回も引き続き、相手の力を引き出すための質問スキルについて紹介したいと思います。

 

三瓶真理子(EASE Mental Management 代表・臨床心理士・公認心理師)

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