カウンセリングをスターウォーズで解説する

はじめに

突然ですが、STAR WARSは好きですか?
私はスターウォーズシリーズのファンで、9作目の『STAR WARS スカイウォーカーの夜明け』は公開初日に観に行ったほど好きです。

STAR WARSギャラクシーズ・エッジ
カリフォルニアのディズニーランドパークには『ギャラクシーズ・エッジ』というSTAR WARSの世界を再現したエリアがあります。初めて行ったときは大興奮でした。

スターウォーズを知らない方にご紹介すると、9作品からなるシリーズで、1〜3まではアナキン・スカイウォーカーが主人公、4〜6はアナキンの息子、ルーク・スカイウォーカーが主人公、7〜9まではレイという主人公で物語が進みます。

アナキン、ルーク、レイは、それぞれフォースと呼ばれる力の明るい面(ライトサイド)を使って戦う『ジェダイ』と呼ばれる騎士で、フォースの暗黒面(ダークサイド)を使う『シス』の攻撃や支配に対して闘っていくのですが、スターウォーズの面白いところは、フォースというのは精神状態を表していて、同じ人でもライトサイドとダークサイドの間を行き来するのです。

現に、最初の主人公・アナキンは、不満や不信などの感情からダークサイドが強くなり、ついには『シス』のダース・ベイダーとなってしまいます。ルークも怒りや憎しみから、ダークサイドに取り込まれそうになり、レイも自分の中のダークサイドを自覚し苦しみます。また、レイの敵であるカイロ・レンは、『シス』の支配者でしたが、最後には自分の中のダークサイドを克服し、ライトサイドに戻っています。

つまり、誰のこころの中にもダークサイドはあり、状況や境遇によってはダークサイドが強くなったり、ライトサイドが強くなったりするのです。誰かを嫌ったり、憎んだり、悲しんだり、怒ったり、葛藤したり。どんなに素晴らしい人でも、自由や希望など、ポジティブな感情だけではいられないのが、人間というものです。

カイロ・レンは言います。「The dark side is in our nature.(ダークサイドは私たちに自然にある)」と。

ダークサイドの感情は、痛みや苦しみを伴います。普段は見ないようにしていても、節目節目であらわれてはつらくなったり、自分の望む方向へ行くことを妨げたりします。
例えば、新しい仕事に挑戦したいと思っているのに、金銭的な痛みを負ってしまうのではないかと思うととても怖くなって、正常な判断ができなくなってしまう、という例や、過去に◯◯さんから言われた言葉が、今の自分のチャレンジを引き止めてしまう、というような例もあるでしょう。
頭でも心でも、この選択肢がいい、とはわかっている。でも、自分の中の何かが引き止める、ということはよくあります。

恐怖に直面するのを助けてくれる2つの◯◯

自分のダークサイド…つらい感情を見ていくのは、とても怖いでしょう。それはとてもよく理解できます。
We’re gonna show them we’re not afraid.(恐れない姿を見せてやろう)」と言われても、怖いものは怖いのです。
のぞき込んでしまったら、見たくないものに直面するとわかっているので怖いし、なによりつらいので触りたくもない、と感じるかもしれません。

それでも、自分の中にあるダークサイドを見つめて成長したいと思ったときに、助けてくれるものが2つあります。

1つは、自分のライトサイド…誰にでもある、健康的で、力のある部分です。
カウンセリングや心理療法では、この自分の健康的な部分、力のある部分をしっかりとカウンセラーと確認していきます。
今までに成功した経験や、既にできていること、自分の強み、動じない部分、健康な部分に光を当てて、ダークサイドを探索していく下地をつくり、必要になったらすぐに光のある部分に戻って来られるようにします。ダークサイドとライトサイドを行ったり来たりしながら、安全な範囲で探索を進めていくのです。

もう1つは、自分以外の人と一緒に進めていくことです。

They win by making you think you’re alone. (孤立したと思わせるのが奴らの作戦だ)」という台詞があらわすように、孤独だと感じると、ひとは勇気が出なくなります。自分のダークサイドに立ち向かうことは、1人だと難しく感じられます。
でも、2人で一緒に探索するのであれば、どうでしょうか?「皆、そう思うことがあるんだよ」などと、他にも仲間がいることがわかったとしたら、どうでしょうか。
カウンセラーはカウンセリングの場では、仲間であり、探索のガイドもつとめます。一緒に目標に向かって探索し、これ以上は危ないと感じたら止めることもします。もう少し踏み出せば越えられそうだ、と感じたら、先に行って手を差し伸べることもします。たどり着いたら、一緒に喜びます。成長への壁を乗り越える、パートナーとして私たちカウンセラーはいるのです。

さいごに

Never be afraid of who you are.(あなたが誰であるかを恐れないで)」ルークの双子の妹であるレイアは言います。
自分自身を探索することは、ときに不安や恐怖をともなうものです。
しかし、自分の中の明るい部分と、1人ではないということが、不安や恐怖に打ち勝つ力を与えてくれます。
There’s more of us.(味方はちゃんといる)」ので、安心してくださいね。

EASE Mental Managementでは、頑張りすぎない自分でいてもいい、心の安全基地を目指して、心理カウンセリングやコーチングを行っています。あなたの現状や、つい湧いてしまう感情をコントロールしたいときに、私たちのことを思い出してください。

こんなことぐらいで相談してもいいのかな?ということでも、話すだけで楽になることもあります。もし当てはまるかもと思った方や、身近な方にオススメしたいという方も、まずはサービスメニューをご覧ください。

EASE Mental Management 三瓶真理子(公認心理師・臨床心理士)

精神科・心療内科は怖いところ?行くタイミングに悩むとき

はじめに

カウンセリング・コーチングの中でお話をお聞きしていると、「気になること、ストレスになることがあって眠れない」「会社に行くのがつらい」「仕事のやる気がわかなくて困っている」というご相談を受けることが、よくあります。
生活習慣や気になっていること、どのくらいその状態が続いているか、などをうかがい、今の状態でできる対処をお伝えしますが、それだけだと回復が難しそうだな、という場合は「メンタルクリニック(精神科・心療内科)でご相談するといいと思いますよ」とお伝えすることがあります。
すると、「病院にはもっと重い人が行くのだと思っていました」(もちろん重い症状の人も行きますから間違いではないのですが)「こんな症状で行ってもいいのだとは知りませんでした」とおっしゃる方も多いのです。
精神科、心療内科、といったメンタルを扱うクリニックや病院への通院ハードルは高いのだな、とそのたびに感じます。

精神科・心療内科・メンタルクリニックは怖いところではない!

私は製薬会社から転職し、初めて心理の現場に就職したのは、精神科・心療内科を標榜する(かかげている)多摩地域のメンタルクリニックでした。開院したばかりのそのクリニックは明るくて清潔感があり、商店街の途中にあり、院長先生が細部にまでこだわって作られた、温かみのある場所でした。患者さんは「相談したい」という比較的軽症の方から、「治療してほしい」という不調を抱えていらっしゃる方まで、様々です。どんな方がいらっしゃっても、先生も、スタッフも、丁寧に対応します。

医療機関で働いていた立場からすると、症状が軽いうちに来ていただいた方がいいのです。
取れる方法も多いですし、重くなってから来院するよりも、早く改善することも多いです。アドバイスに従って生活習慣を変えたり、話すことで整理してスッキリしたり、考え方や対処法のアドバイスをもらったりすることで、良くなっていく方もいらっしゃいます。
「こんな症状なのに来ちゃって…」と思うことはありません。もし、症状が少しだけなのに医療機関に通院しないと不安だ、という場合は、『不安が強い』ということを扱っていくかもしれません。
お薬を飲むことに不安のある方もいらっしゃいますが、その不安を医師や、お薬をもらうときの薬剤師さんに伝えると、きちんと副作用や服用期間についても説明してくれます。あなたはあなた自身のスペシャリストですし、医師や薬剤師さんは医療や薬のスペシャリストですから、堂々と質問して大丈夫です!

メンタルの不調はどのくらい身近なもの?

2013年から2015年にかけて行われた、日本のメンタル疾患の有病率に関する調査があります(川上憲人(2016)精神障害の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド)。この調査によると、1年以内に『うつ病』にかかる人の割合(DSM-Ⅳ-TRによる12か月有病率)は2.7%(37人に1人)、一生のうちに『うつ病』にかかる人の割合(DSM-Ⅳ-TRによる生涯有病率)は5.7%(17人に1人)、いずれかのメンタル疾患(DSM-Ⅳ-TRによる生涯有病率)は15.2%(6〜7人に1人)です。ICD-10という診断基準を使うと、一生のうちに何らかのメンタル疾患にかかる人の割合は22.9%(4人に1人)になります。とても身近な不調ですよね。

精神障害の生涯有病率
メンタルの不調(精神疾患)は、2011年に、厚生労働省が定める『5大疾病』として、国民に広く関わる疾患として認定されました。そのくらい、かかる人が多いということです。
まだ症状が重くならないうちに、精神科や心療内科、メンタルクリニックに相談に行ってみるのは、とてもいいと思います。

さいごに

心身の状態が優れないと感じたとき、精神科・心療内科・メンタルクリニックには、ぜひ怖がらずに行ってみてほしいですが、それでも迷う場合には、カウンセリングをおすすめします。カウンセラーが気になっていることや状態をうかがって、クリニックや病院に行くべきかどうかについて一緒に判断することも可能です。気軽に相談できる先をつくっておくと、ひとつ、安心感が手に入りますよね。
気軽な相談先として、EASE Mental Management も使ってみてくださいね。

入社後、異動後に、新しい環境になじむための6つの方法

はじめに

2020年、COVID-19は過去に例を見ない大きな生活の変化をもたらしました。今は、新しい生活様式に皆がすこしずつ慣れようとしているところかと思います。
この時期に並行して、大きな環境の変化を経験した方、たとえば新しく入社した、新しいチームに異動した、新しくリーダーやマネージャーのポジションになった、などの変化を経験した方は、前例のない状況の中で、本当に大変でしたね。よく頑張っていらっしゃると思います。
「まだ慣れない」「なかなか馴染めない」「頑張って慣れようとしているが、つらくてしかたない」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
新しく入った会社、部署、人間関係に慣れるには、どんなマインドセットや工夫をしてみるのがいいのでしょうか。

適応はそもそも時間を必要とするもの

高い山に急に登ると、気圧の差による酸素欠乏で高山病になることがありますよね。高山病の予防の一つは、ゆっくりと、体を慣らしながら登ることです。
新しい環境に入るときにも同じことが言えます。早く慣れようと最初からとばすのではなく、しっかりと足場を固めていくことが、結果的には適応への近道につながります。

新しい環境になじむための6つの工夫

1)初めから「期待にこたえよう」としすぎない

新しい環境では、「期待されているのだから頑張らなければならない」「早く戦力になることを見せなければ」とどうしても気負ってしまうものです。
しかし、逆の立場で考えてみると想像しやすいかもしれません。あなたが所属している組織に、新しい人が入ってきました。その人に、最初から既存の人と同様のパフォーマンスを求めますか?
最初の数ヶ月間は、現場に慣れること、新しい環境のルールを覚えること、業務の概要をつかむこと、人に慣れること、そういったことで十分だ、というのは周囲から見ていれば感じることでしょう。
焦る前にできることについて以下に挙げてみましたので、ひとつずつ見ていきましょう。

2)オリエンティング

広いサバンナに、草食動物がいることを想像してみてください。少し離れた場所から初めてこの場所にやってきて、まずすることは何でしょう。草を食べますか?…いえいえ、まずは周りをよく見て、この場所の地形、特徴、どんな匂いがするか、他にどんな動物がどのくらいいるか、ここは安全な場所かどうか、どこにいるのが最も安全か、状況をよく確認してから作業(食事)を始めます。これをオリエンティングと言います。
ひとは、安全な環境にいるときに創造性が発揮されます。自分の周囲を、ゆっくり見回してみましょう。そして、どんなことに気がつくか、3つ挙げてみましょう。

3)リソースを確保する

高山病が予想されるような高い山に登ろうとするときは、いざというときに備えて薬を用意するかもしれません。すぐにヘルプやSOSを出せるよう、連絡がとれる人とつながっておくかもしれませんね。また、過去の経験から危険な箇所に検討をつけ、どのように攻略できるか、考えておくでしょう。
仕事での新しいチャレンジに対しても、いざというときに使えるリソース(資源)を確保しておきましょう。自分が今まで身につけてきたスキルや経験、アドバイスをくれる人や心の支えになってくれる人、過去に新しい環境に入ったときや大変だったときはどのように乗り越えたか、何が支え・助けになったか。使えるリソースを棚卸しして、明文化しておくと役に立ちます。
働く環境がどんなに個人主義の現場だったとしても、社内外に、また自分の内側にも、必ずリソースはあります。

4)孤独感を癒す

大きな負荷がかかったときに、乗り越えられる人とそうでない人の差はどこにあるか。カウンセリングをしていると、その差は「相談できる人がいるかどうか」が大きいように感じます。どんなに能力がある人でも、自分の感じていることを誰にも話せないのは、とてもつらいことなのです。
新しい環境で、まだその場所でこころの内を話せる人がいない場合は、特に孤独で心細く感じるかもしれません。
その場合は、人間関係の枠を少し広げてみましょう。上司や同僚、仕事仲間だけでなく、趣味の知人、学生時代の知人、前に所属していた場所の同僚・先輩・後輩、友人、家族・親戚、公的機関、カウンセリングサービスなど、今まで視野に入っていなかった意外なところに味方がいることがあります。人間関係というリソースを活用することも、スキルのひとつです。

5)自分をケアする時間を持つ

新しい環境では、人はとてもエネルギーを使います。環境への適応に多くのエネルギーを割いている分、たっぷりエネルギーを補充してください。具体的には、普段よりもしっかりと睡眠をとる、バランスのとれた食事をする、自分が自由に使える時間を持つ、などです。おすすめは、1日のうちにせめて1時間は、バッファ(緩衝)時間をとること。新しいことにチャレンジしているあなたは、十分頑張っています。誰にも気兼ねしないで好きなことをする、リラックスして過ごす時間を、自分に与えてあげてください。

6)遠慮せずに引き継ぎ・学びの時間を確保しにいく

ヘルプを出せない人に話を聞くと、「(相手が)忙しそうだから時間をさいてもらうのが申し訳ないと思った」「自分で何とかしないといけないと思った」と言います。引き継ぎや学びのために質問すること、手を貸してもらうことが、相手の迷惑になると思いこみ、行動が止まってしまうようです。
あなたが活躍することが、チームや上司、ひいては会社のためになります。自分が活躍するために、今は知識を蓄える必要があると感じたら、遠慮なく聞きにいきましょう。今は手を貸してもらったり、時間をもらうかもしれませんが、そのぶん少し先には何倍の戦力にもなって返すこともできるはずです。
また、誰かの役に立てることが嬉しいと感じる人もたくさんいます。あなたの役に立つことが、相手の利益になる場合も多いのです(あなたが誰かの役に立ったときのことを想像してみてください)。
たまたま、本当に相手が忙しくて時間をとってもらえないこともあるかもしれませんが、「後ほどお時間のあるときに教えてください」と伝えておくだけでも、あなたがヘルプを必要としていることは伝わります。
「前にも同じことを聞いたかも…」という心配も無用です。「もう一度確認させてください」と遠慮なく確認し、あとは忘れないように改めてメモすれば大丈夫です。

さいごに

変化が大きければ大きいほど、慣れるのに数ヶ月〜年単位が必要なのは、とても普通のことです。また、慣れたころに疲れが遅れてやってくる(3ヶ月後、半年後、1年経ってから)ということも、よくあります。
「なんだか調子がおかしいな」と感じたら、自分をケアする時間をとるとともに、早めに相談の機会を持つといいでしょう。身近な人や、医師、カウンセラーなどの専門家にも相談してみてください。

自然に触れるとパフォーマンスがアップする?

こんにちは。公認心理師・臨床心理士の三瓶真理子です。

この記事を書いている2020年5月現在は、COVID-19の影響による外出自粛が行われている最中にあります。
外出の機会が少なくなり、体重が増えてきて困っているのですが、もう一つ気づいたのは、PCやスマホの画面を見る時間がとても増えたということです。
仕事のミーティングも相談を受けるのもPCの画面上、本を読むのも最近はKindleなのでスマホ上、論文を読むのもPCの画面上、…ということでずっと画面を見ています。
目も使いますし、どうしても姿勢が固定されたり、身体の動く範囲も狭くなり、それに伴って視野も狭くなっている気がします。

そんな最中、調べ物をしていて、APA(アメリカ心理学会)が自然と認知機能、ストレス軽減、気分の向上、前向きな感情と幸福感とのつながりについてまとめている記事を見つけました(Nurtured by nature)。 
緑の近くに住んでいる人では注意の機能が向上し、自然に触れると記憶、認知の柔軟性、注意力が向上するという研究があるそうです。(Current Directions in Psychological Science, Vol. 28, No. 5, 2019)
また、作業中に自然や緑を見ることで、ミスが減少したという調査(Lee, K.E., et al., Journal of Environmental Psychology, Vol. 42, No. 1, 2015)、自然の音を聞いた人と、そうでない音を聞いた人ではパフォーマンスに差があった(Van Hedger, S.C., et. al., Psychonomic Bulletin & Review, Vol. 26, No. 2, 2019)という調査もあり、作業の合間に緑を見たり、自然の音に触れたりすることが、パフォーマンスの向上にもつながるようです。

オフィスがある目黒川沿いは元々とても緑豊かですが、オフィスの中にも植物を迎えました。

オフィスのセローム

セローム・ホープ、というそうです。いい名前ですね。
緑があると、雰囲気が柔らかく爽やかになりますね。大事に育てていきたいと思います。
 

【動画配信】0→1Night 起業家のメンタルケア、悩みとの向き合い方

4月27日に行われた、0→1Booster(事業創造アクセラレーター)さんのイベント0→1Night『起業家のメンタルケア、悩みとの向き合い方』に登壇させていただきました。当日の録画は以下から視聴可能です。

 

モデレーターの0→1Booster平岡さん、うつ病患者の家族向けコミュニティサイトencourageを立ち上げた起業家の林さんとともに、ハードな環境で働く起業家の悩みの現状とストレスケアについてお話しさせていただきました。
起業家の方のメンタルヘルス不調への罹患率は高いことが報告されています。プレッシャーや孤独感も強い状況で、レジリエンス(ストレスからの回復力)を高めていくための方法を思考、感情、体、行動の4つの要素に分けて解説しました。
起業家の方のメンタルケアについては、引き続き取り組んでいきたいと思います。

新型コロナウイルスによる在宅勤務(WFH)時のメンタルケアについて

在宅勤務(WFH)時のメンタルケアに関する資料を作成しました。
大きく環境が変わる中で、気持ち・メンタル面を整える方法の一助としてお役立てください。

・新型コロナウイルスによる在宅勤務(WFH)時のメンタルケアについて

EASE Mental Management 三瓶 真理子 (臨床心理士・公認心理士)

みなさまへ

今回の新型コロナウイルスの影響により、通常とは大きく異なる働き方や過ごし方が求められ、戸惑いや、日常生活のバランが取りにくくなっていると感じる方も少なくないと思います。

この状況下を無事に乗り越えられるよう、メンタルケアのポイントについてまとめました。
下記のソースも含め、ご参考になさってください。

参考にした情報
・緊急時のメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)に関する機関間常設委員会(IASC)リファレンス・グループ「新型コロナウイルス 流行時のこころのケアVersion1.5」
www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/topics/20200330.html
・日本心理学会「もしも『距離を保つ』ことを求められたなら:あなた自身の安全のために」
psych.or.jp/special/covid19/Keeping_Your_Distance_to_Stay_Safe_jp/
・日本赤十字社「感染症流行期にこころの健康を保つために ~隔離や自宅待機により行動が制限されている方々へ~」
www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200327_006138.html

新型コロナウイルスによる在宅勤務で起こりやすいメンタルの状態

不安・心配・恐怖

・自分自身や家族が新型コロナウイルスに感染するのではないか
・他の人に感染を広げてしまうのでは
・食料や身の回りのものが入手できるだろうか
・仕事はこれからどうなるのだろう
・家族もきちんとケアできるだろうか

…こういった心配、不安、恐怖感は、感じるのも自然なことです。
よく眠れなかったり、普段なら問題なくできることができなくなったりする人もいます。

マスクとウイルスを考える人

抑うつ・倦怠

仕事や余暇の活動が中断されたことで、悲しみや、落ち込みを感じることがあります。
家の中にいる時間が長くなるため、倦怠感(だるさ)や孤独感を感じるかもしれません。

怒り・フラストレーション・イライラ

主体性や自由が失われた状態では、フラストレーションを感じやすくなります。
ウイルスそのもの、身近にいる人、この出来事に対してなんらかの判断をくだした人、第三者などに対しても、怒りや憤り、イライラを感じやすくなるかもしれません。
普段はほどよく距離が保たれている家族とも、ずっと一緒に過ごすことでイライラしてしまうこともあります。

もしあなた自身が新型コロナウイルスに感染したり、感染者と接触したことがある場合、他の人たちから物理的な距離だけでなく心理的にも距離を置かれているように感じるかもしれません。
また、もともとメンタルヘルス不調やその他の障害を抱えている方も、生活の変化や心理的な変化からメンタルへの影響を受けやすくなっているかもしれません。

こうした変化をかじるのは、この状況下では自然なことです。
自分の状態に気づき、自分を十分いたわってあげてください。

では、対処の仕方もご紹介いたします。

新型コロナウイルスによる在宅勤務のメンタルケア・対処のしかた

信頼できる情報に、適度な時間だけ、触れましょう

ウイルスに関する情報に、あまりにも多く接することは不安・心配・恐怖を必要以上に増やすことになりかねません。
公的機関や専門家から発信された、信頼できる情報を入手し、不安や心配に圧倒されそうになったら、いったん、情報から離れましょう。

他の人とのオンラインでのつながりを保ちましょう

直接会う機会が減ってしまった分、Slack、Zoom、メール、LINE、SNSなどのオンラインコミュニケーションツールを使って、会社の人、友人や家族など、他の人とのつながりを保ちましょう。
社会的なつながりは、私たちの心の健康を保つ大事な役割を担っています。同じような状況にある知人や友人にも、手を差し伸べて、互いに助け合えるといいですね。

日々のルーティンを守り、規則的なライフスタイルを維持しましょう

外出しないとしても、洗顔、歯磨き、入浴などの日々のルーティンを維持したり、身支度を整えたり、規則的で十分な睡眠、規則的な食事をとるように心がけましょう。
運動ができる体調であれば、自宅でもできる運動をしましょう。
仕事、運動に加え、娯楽も十分取り入れて、バランスをとってください!

上手に眠るための工夫

おすすめ

・適度な運動
・起床後、日光を取り入れる
・しっかり朝食をとる
・就寝前のリラックス

避けた方がよい

・就寝直前の激しい運動
・就寝直前の夜食
・就寝前の飲酒・喫煙
就寝前の3~4時間以内のカフェイン接種

参考:厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針2014」
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

 

ストレス管理、ストレス対処方略を積極的に使いましょう

・できていないことよりも、できていることに目を向けましょう。
・心配事、気になることがあるときは、書き出して整理しましょう。
・日常生活でも仕事でも、達成目標を設定し、それを実行することで、達成感や自己コントロール感を得ることができます。
・好きなこと、リラックスできること、笑うこと、心を許せる人と話すこと、体を動かすこと、マインドフルネスなどを活用することができます。

専門家を活用しましょう

精神的につらい、不安や心配がなかなかおさまらない、環境が変わって仕事ができなくなった、など
メンタルの調子を整えたい場合は、EASE Mental Managementのオンラインカウンセリングをご利用ください。
詳しくはサービス詳細をご覧いただき、お問い合わせください。
臨床心理士/公認心理士が対応させていただきます。

そのつらさ、本当に自己責任?

先日、はじめてお会いした方に、私が心理職であると自己紹介すると、「うつ病などのメンタル疾患になる人は、『自分がいけないから…』とか『自分のせいで…』って考える人が多くないですか? そう考えることでうつ病になるのでしょうか?」と聞かれました。
私の答えは、「『自分がいけないから』『自分のせいで』と繰り返し考えると落ち込みますよね。だから、どう考えるかということは1つの要因ではあるものの、それがすべてではないですよ。」と答えました。
それってどういうことでしょう?

医療や心理、福祉の業界では、その人の状態をみるときに、「生物心理社会モデル」という考え方を使います。

たとえば、10年勤めた部署から異動になり、そのタイミングで引っ越しし、新しい家族も誕生して生活が大きく変わったが、同じタイミングで大切な人が亡くなってしまい、いつのまに気力が湧かず、うつになってしまった、という場合を例にとってみましょう。
異動、引っ越し、新しい家族の誕生、大切な人が亡くなる、というのはどれも『環境』の変化です。生物心理社会モデルでいうところの、『社会』の要因ですね。異動先の文化も違うかもしれませんし、どれも大きな環境の変化です。一般的に環境が変化した時には、ヒトは新しい環境・状況に慣れるために、たくさんのエネルギーをつかいます。上記の例ひとつひとつをとってみても、とてもエネルギーを使う出来事です(そして、慣れていたそれまでの自分の生活を喪失する、という悲しみも伴うかもしれません)。こういった環境の変化が、ストレス関連の病気と関係していることが、研究により示されているのです(Holmes&Rehe,1967など)。

からだの要因、生物学的要因とはどういうことでしょうか。
うつ病の発症率は、女性が男性にくらべて約2倍発症しやすく、これには女性ホルモンの働きが関わっていると考えられています。また、うつや不安に関係するセロトニン・トランスポーター遺伝子の型が人によって異なることや、同じ薬を飲んでも人によって薬の効き方が異なることなどを考えると、そのひとそれぞれが持つ『からだ』の特徴が、病気の発症や、もっと言ってしまうと考え方や行動のしかたにも影響を与える、ということはあるでしょう。これが、『生物』の要因です。

そして『こころ』の要因…つまり『心理』的な要素も、もちろん関わってくるでしょう。
上述したように、「自分が悪いんだ…」と自分を責め続けてしまうことは、落ち込んだ気分と関係します。
ポジティブな側面に目を向けることで、つらい気持ちが和らぎ、活力が湧いてくることもあるでしょう。それは事実です。

ただ、「自分の考え方の問題である」とか、「自分が○○できないのが悪い」と、自己責任論に落とし込んでしまうのはちょっと危険だと思いますし、それは事実ではないのではないかと思うのです。

わたしたちの『こころ』について語るとき、そこには必ず『からだ』や『環境』の要因も絡んできます。その反対もしかりで、からだや環境に、こころの要素が絡むこともあるでしょう。

つらいことが起こっているとき、つらい状態を経験したときに、自分の気持ちや考え方(つまり『こころ』)が変わることで状況が変わることもあります。でも、それが全てだと思ってしまうと危険です。
わたしたちのこころは『環境』からも『からだ』からも影響を受けます。トータルでとらえてみて、バランスよく自分に何が起こっているのかを把握した方が、より適切で、柔軟な対処法が見つかるのではないかな、と思います。

「自分はHSPかも…」職場でみられるHSP(Highly Sensitive Person)

最近、メンタルヘルスのご相談に来られる方の中に「HSPの本を読んで、自分もあてはまると思ったんです」「自分はHSPなのではないかと思うんです」とおっしゃる方が増えました。

HSPとは、Highly Sensitive Person(非常に敏感な人)の略で、日本では「繊細さん」という表現もされています。

HSPが増えた原因は

実際のところ、HSPの方が増えたというよりも、HSPという概念が多くの人に知られるようになったとが、母数が増えている要因のひとつでしょう。
自分の特徴、なんだか生きづらいな…と漠然と感じていた状態に「HSPという名前がつくんだ!」とわかったことで、「自分もそうかもしれない」と気づく方が増えたためなのではないかと思います。

つまり、以前からHSPの方はたくさんいたのですが、名前がついたことで認識できるようになったのです。

HSPという診断名や概念が広く知られるようになったことで、自分もそうかも…と思う人が増え、診断を受けて判断がつく人が増えていく。
この経緯は、「うつ病」や「発達障害」の広まり方と重なります。
(といってもHSPは病名や診断名ではなく、カテゴリーや概念をあらわすものです。)

HSPとはどういう人?自分も当てはまる?

HSPはアメリカのエレイン・アーロン博士が提唱した、敏感な特徴をもつ人たちをあらわした言葉です。

アーロン博士の調査によると、アメリカ人におこなったテストでは、全体の15〜20%の人がHSPに該当したということです。
この数値をそのままあてはめることには疑問がありますが、約5人に一人という、決して少なくない数のHSPの特徴を持つ方が私たちの中にもいらっしゃるでしょう。

HSPの特徴とは、感覚的な刺激を受けやすいこと、相手の感情を捉えやすく、影響を受けやすいこと、情報処理の深さなどが挙げられるといいます。

職場においてのHSPの方は、

・敏感すぎるために接する相手の気持ちや状態がわかりすぎてしまう
・相手の感情に影響を受けすぎて、または相手に配慮し過ぎてつらくなってしまう
・たくさんの人や音などに囲まれている仕事場では集中することが難しい
・仕事で複数の気を配らなければならないタスクがあると、他の人以上に消耗しやすい
・通勤電車で人波にもまれることで、とても疲れてしまう

といった特徴が挙げられます。

実際、メンタルヘルスでHSPの相談に来られる方で、上記のようなつらさを訴える方はとても多いのです。

職場でのHSPに悩む多くの相談を受けて

多くの方は、何か課題を感じてメンタルヘルスの相談に来られます。
自分の抱えている課題や、うまくいかなさは、HSPのためなのではないか、といらっしゃる方もいます。

非情につらい思いをされ、まだまだ理解されにくい環境から、メンタルが弱いとレッテル張りをされてしまうという方もいらしゃいました。

ただ、メンタルヘルスの相談に来る方が求めていらっしゃるのは、HSPであるかどうかにかかわらず、自己理解と、どうすれば楽になるのか。毎日つらい、大変だと思わずに過ごしていけるのか、ということだったりもします。

十分にお話しをうかがい、いま最も不便を感じている状況にどう対策をとると楽になるか。
刺激と距離を置き、自分の感覚や感情を守るために、どんな対応をすると良いのか。

HSPの特徴を持ったあなたは、自分になにかが足りないせいだ、自分に能力がないのかもしれない、と自分を責めているかもしれません。
そんな時は、自分の気持ちをカウンセラーと一緒に慈しみ、自分についての理解と、対応の仕方を一緒に探っていく、整理してみませんか?
きっと、メンタルヘルスはHSPの特徴をもったあなたのお役に立てるのではないかと思います。

(参考)
イルセ・サン(2016)鈍感な世界に生きる敏感な人たち,ディスカヴァー・トゥエンティワンhttps://hsperson.com/(2019/12/6閲覧)

ご相談はサービス内容からお選びください。

【Q&A】週末の過ごし方は仕事にどう影響する?

Q:仕事が忙しく、休日も次の週の仕事でやらなければならないことを考えて、気分的に休まりません。特にこれといった趣味もなく、休日はもっぱら寝たりダラダラ過ごしたりするだけなので、土日をはさんでも、なんだかスッキリしないのです…。

A:休日を翌週のためにきちんと休もう、という考えが素晴らしいですね!
休みをしっかりとる、ということが仕事にも健康的な生活にも大切だということは疑いようがありませんし、基本的には好きなように、自分が楽に感じるように休んでもらうのが一番いいと思いますが、効果的な休みかたについても知っておきたい気持ちもありますよね。

まず、睡眠時間についてです。休みの日にウイークデーより2時間以上寝だめしないと体がもたない…!という場合には、平日の睡眠時間が足りていないことが考えられます。
あまりにも眠る時間と起きる時間のサイクルが崩れてしまうと、体内時計が狂ってしまい、翌週の生活リズムが崩れ、調子の悪さに繋がる可能性があります。
休日にたくさん寝てしまう、という場合は、平日の睡眠をもう少し確保することをお勧めします。

上手に眠る方法については、こちらの資料がまとまっています。
厚生労働省-よく眠るための12の指針

さて、週末の過ごし方については、こんな研究があります。
友達や自分の大切な人と週末を過ごすことは、次の週の幸福感と仕事のパフォーマンスに良い影響があり、さらに、週末に自分の仕事についてポジティブに振り返ることは、次の週の疲労感や新しいことを学ぶ意欲に良い影響がある、という研究です。
(Fritz, Charlotte,Sonnentag, SabineJournal of Occupational Health Psychology, Vol 10(3), Jul 2005, 187-199)

もちろん、疲れているときに無理にひとに会う必要もありませんし、無理に仕事のことを考える必要もありません。…が、もし「することがないなぁ」「何をしようかなぁ」と迷っているなら、こころを許せる人と会ったり、今週自分が『できたこと』『挑戦したこと』をリストアップしてみるなど、ポジティブな振り返りをしてみるのもいいかもしれませんね。

ストレスチェックに見る、ストレスを軽減する方法

仕事も、家のことも、しなければならないタスクがいっぱいで、疲れているとき。なんだかストレスが溜まっているように感じるとき、どのように私たちはストレスをコントロールし、自分をケアするのが良いのでしょうか?

2015年から始まったストレスチェック制度は、50人以上の働く人がいる事業場に義務づけられたチェックなので、受けたことがある方も多いかもしれません。
このストレスチェックの結果の見方として、『仕事の量』と『コントロール(自由度)』と『サポート』の3つの側面から自分の心身の健康度を見る方法があります。

仕事の要求度コントロールサポートモデル

仕事で要求されること(ここでは仕事の量)が多く、自分で自由に決められる裁量(自由度)が少なく、そして助けてくれる人(サポート)も少ないとき、高いストレス状態となり、心身の健康の害しやすさと関連していることが明らかになっています。
このことは、Johnsonら(1988)の「仕事の要求度-コントロール-サポートモデル」として知られています。

さて、このことを踏まえて実際のはたらく人の相談を見てみると、とても興味深いことが見えてきます。
私は仕事柄、とても忙しい人の話もよく聞きますが、どんなに忙しくても、自分で自分の仕事をコントロールできる立場(裁量権を持った管理職など)の人や、上司やメンバーに話がしやすく、協力してもらやすい場合は、忙しくても案外やっていけるようです。
反対に、つらさを感じている人の話を聞くと、多忙に加えて、自分ではタスクが決められない(例えば子育てなども含めてmustでやらなければいけないことが多すぎる)場合や、周囲からの理解や協力が得られない、自分の感じているつらさを誰にも話せない・相談できない、という場合に、特につらさを感じていることが多いように感じます。
これは「(仕事の)要求度」「コントロール」「サポート」モデルで言われていることと、相談を受けている実感としても、とても合致していると感じるところです。

そこで、ご相談者の方とお話をするときに、私は時々、この「仕事の要求度-コントロール-サポートモデル」についてお伝えすることがあります。
自分の抱えているタスクで調整できそうな部分があったら上司や周囲の人に伝えて調整するのがいいと思いますし、相談できそうな人には相談してみるととてもいいと思います。もちろん、それはわかっているけれどできないから悩んでいる、という場合には、効果的な伝え方をお伝えすることも含めて、一緒に別の方法を考えていきます。
もうひとつ、おすすめするのは、1日1時間でも(難しい場合は30分でもいいので)自分の自由に使う時間をつくることです。バッファ時間、自分のために使う時間、自分の好きに過ごす時間を、自分のために作るのはどうですか、と伝えます。
この時間は、自分の好きに使えるという点が重要です。裁量を上げて、自分の主体性を取り戻すための時間なのです。
日々、一生懸命働いたり活動したりしているあなたが、自分のために1時間取ることの何がいけないというのでしょうか!…と熱くなってしまいますが、ブレイクをいれることで心身ともにゆとりが出て、より健康的に、クリエイティブに、能力を発揮できることと思います。

「要求度(求められていること)」「コントロール」「サポート」のどこかを変えられないか、つらいときには目を向けてみてくださいね。
そして「サポート」としていつもカウンセリングがあることを思い出してください。

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